旧環境庁が発足して36年が経ち、環境行政は公害克服のための行政から、低炭素社会および循環型社会の構築など「持続可能な経済社会」実現の中核を担う行政へと、大きな様変わりをみせている。しかし一方では、被害救済や自動車排ガス・土壌汚染など解決していない公害環境問題も、数多く残されたままだ。
そのなか、今年7月にはプロパー1期生の西尾哲茂氏が事務次官に就任した。環境行政の歩みを携えてトップになった同氏に、過去36年の成果と今後の課題、持続可能社会作りへの展望などを聞いた。(聞き手は本誌・清水編集長)
――1972年の環境庁発足から36年たち、今年7月の定期異動ではプロパー1期生から悲願の事務次官が誕生しました。今日に至るまでの環境行政の重要な成果と、積み残した問題などについて、まずお聞きしたい。
公害克服し地球環境問題の地平開いた36年
西尾哲茂・環境事務次官 もっとも重要な成果は、第一に地球環境問題という地平を開いたこと、そして二つ目に公害の克服や被害救済の実現ということをあげたい。前者は、二つのポイントがあると考えています。一つは、「サスティナブルデベロップメント」という概念の形成や普及に、日本が大きな役割を果たしたことです。日本の提案により、1987年にブルントラント委員会が開催され、この新しい概念が広く認知されることにつながっていった。もう一つは、気候変動枠組み条約の締約国会議として、京都会議をホストしたこと。これによって、日本は気候変動問題に対しても相応の責任を負い、国内対策や国際的な貢献に踏み出すことになった。重要な成果といえば、これらに象徴される地球環境問題への取組みがまずあげられます。
また、公害対策の面では、激甚公害の克服ということもあるが、汚染の防止や環境リスクの低減という部分での成果を特に強調したい。2010年が間近になって、今さら70年代の激甚公害の克服を成果として強調するよりも、むしろ、そうした激甚公害の克服の上にたって、環境対策と産業経済の発展を両立させる「Win- Win」のモデルを築いてきたことが重要です。もちろん、これは環境省(庁)だけの取組みではないが、とても大きな成果だと思っています。
(以下については本誌No.2015をご参照ください)
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