週刊「エネルギーと環境」 毎週木曜日発行

今週の注目記事


No.2015 2008.11.20




 第1レポート  次の記事

…国内企業の認知度依然低水準の中先行企業も、ABS問題は当面EUの出方注視

生物多様性企業活動指針策定へ、遺伝資源利益配分交渉難題


 生物多様性基本法の制定や第3次国家戦略の策定を踏まえ、企業活動に生物多様性保全への配慮を求める動きが強まってきた。一部企業に積極的な取組みがみられるものの、全般的に欧州企業に比べて遅れ気味だ。このため、環境省は10日に「生物多様性企業活動ガイドライン(GL)検討会」を設置、企業活動での取組み加速化を目指す。

低い日本企業の生物多様性保全認知度
 企業活動が生物多様性保全に様々な影響を与えるにもかかわらず、日本企業の関心の低さが、10日の上記会合で示された「環境に優しい企業行動調査結果」から浮き彫りになった。それによると、回答した上場・非上場企業約2800社のうち約7割が、「同保全の重要性を認識しつつも自社活動との関連性は低い」と受止めていることが判明。業種別では、発電所・送電網建設やパイプライン敷設等の立地問題で苦労してきた電力やガス事業はその重要性を認識している企業が多かったが(50%弱)、建設業や不動産業、製造業となると10%台しかなく、そのレベルの低さや業種間格差が深刻だ。
 
 ただ、最近では一部大手企業を中心に、生物多様性保全への取組みを強化する動きもみられる。今年4月には有志企業の12社が自主的に「企業と生物多様性イニシアティブ」を設立、現在19社が参加して社会的活動に取組んでいる実態もある(右記)。また、5月の生物多様性条約第9回締約国会議では、ホスト国のドイツ政府が主宰して「ビジネスと生物多様性イニシアティブ」を設立、全世界で34社が署名、うち日本企業が9社あった(右記)。これら参画企業の活動はあくまで自発的なものであり、「リーダーシップ宣言」も全項目を必ず実現すべきという性格のものではない。署名会社は経営管理体制の見直しや、生物多様性評価手法の開発と個別事業への反映、原材料調達での配慮徹底など、様々な形態や方法を独自に工夫しながら、取組みを展開している。

(以下については本誌2015をご参照ください)



 第2レポート  次の記事前の記事

…中環審専門委員会が改めて環境税導入、税制グリーン化を集約。石油石炭税見直しも

道路暫定税率の環境税化を提示・抜本改革見送りで実現困難


 来月中旬にも決定する2009年度の税制改正を前に、中央環境審議会合同部会の「グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会」(委員長;神野直彦・東大院経済学教授)が14日、環境税導入と道路特定会計等の既存エネルギー関連税制に対する見直し方向を「議論の整理案」としてまとめた。
 このまとめを踏まえ、環境省は今週にも「環境税制導入案」を集約する方針だが、新たな環境税制導入は見送りとなる公算が強まっている。

■環境税制導入改めて指摘、既存税の見直し重視
 今回の専門委員会まとめは、(1)2050年CO2半減目標やポスト京都の中期目標設定という流れの中で、エネルギー使用に伴う環境税(炭素税)の必要性は一層高まっている、(2)次善の対応としてガソリン税や石油石炭税の環境税化の推進、(3)自動車・住宅分野でのCO2排出抑制インセンティブとしての税制全体のグリーン化――を指摘した(次頁参照)。昨年までの税制改正要望として環境省が提示してきた「炭素tあたり2400円の環境税案」とは異なり、道路特別会計の一般財源化への制度改正をにらんだ既存エネルギー関連税制の環境税化、さらに税制全体にグリーン化を促す考え方を提示したのが最大の特徴だ。昨年からの急激な原油高騰によって、環境税賦課による価格効果が薄くなった状況があり、重点をシフトさせたという見方もできる。
 


(以下については本誌2015をご参照ください)



 エネ環2000号突破記念インタビュー  次の記事 前の記事

…世界の水問題や環境都市の成功事例作りも重要課題。宇宙船地球号の社会システム構築へ

公害克服から地球環境の地平線へ、経済との関係究明が必要
≪西尾哲茂・環境省事務次官(上)≫



 旧環境庁が発足して36年が経ち、環境行政は公害克服のための行政から、低炭素社会および循環型社会の構築など「持続可能な経済社会」実現の中核を担う行政へと、大きな様変わりをみせている。しかし一方では、被害救済や自動車排ガス・土壌汚染など解決していない公害環境問題も、数多く残されたままだ。
 そのなか、今年7月にはプロパー1期生の西尾哲茂氏が事務次官に就任した。環境行政の歩みを携えてトップになった同氏に、過去36年の成果と今後の課題、持続可能社会作りへの展望などを聞いた。(聞き手は本誌・清水編集長)

 ――1972年の環境庁発足から36年たち、今年7月の定期異動ではプロパー1期生から悲願の事務次官が誕生しました。今日に至るまでの環境行政の重要な成果と、積み残した問題などについて、まずお聞きしたい。
 
公害克服し地球環境問題の地平開いた36年
 西尾哲茂・環境事務次官 もっとも重要な成果は、第一に地球環境問題という地平を開いたこと、そして二つ目に公害の克服や被害救済の実現ということをあげたい。前者は、二つのポイントがあると考えています。一つは、「サスティナブルデベロップメント」という概念の形成や普及に、日本が大きな役割を果たしたことです。日本の提案により、1987年にブルントラント委員会が開催され、この新しい概念が広く認知されることにつながっていった。もう一つは、気候変動枠組み条約の締約国会議として、京都会議をホストしたこと。これによって、日本は気候変動問題に対しても相応の責任を負い、国内対策や国際的な貢献に踏み出すことになった。重要な成果といえば、これらに象徴される地球環境問題への取組みがまずあげられます。
 また、公害対策の面では、激甚公害の克服ということもあるが、汚染の防止や環境リスクの低減という部分での成果を特に強調したい。2010年が間近になって、今さら70年代の激甚公害の克服を成果として強調するよりも、むしろ、そうした激甚公害の克服の上にたって、環境対策と産業経済の発展を両立させる「Win- Win」のモデルを築いてきたことが重要です。もちろん、これは環境省(庁)だけの取組みではないが、とても大きな成果だと思っています。

(以下については本誌No.2015をご参照ください)



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